2026年9月19日に、ヨドバシ池袋(旧西武池袋本店・ヨドバシHD池袋ビル)の地下1階北ゾーンに、お酒売り場が開業した。6月30日のヨドバシ池袋開業から3か月弱で新たな売り場開業になったが、ここにきてある疑問が再燃している。「地下2階はどうなるのか」である。
7,8階と地下2階に改装中区画が残る
6月30日のヨドバシ池袋の開業を経て、建物の大部分は営業中の売り場になった。一方で、7階・8階の南側の他、地下2階の中央から北側の区画、レストラン街やLINKS IKEBUKURO専門店一部は改装工事が続いている。

このうち、7階・8階の南側区画については、ファッション・ライフスタイル雑貨の他、催事場が設置されることが公表されており、西武池袋本店の売り場として改装が進んでいるとみられる。一方で残る地下2階は、2025年9月に西武のデパチカ(惣菜)がオープンした南側区画以外がどうなるのかが明確ではない。
改装工事で一時休業
地下2階は、もともとザ・ガーデン自由が丘が南ゾーンに、残る中央・北ゾーンに西武食品館 生鮮倶楽部の売り場があり、生鮮食品を扱うフロアであった。

休業開始
2025年4月21日に改装工事に伴い、一時休業になる予定であったものの、3日前の18日に急遽休業になった。

18日以前は、
誠に勝手ながら、【地下2階】西武食品館 生鮮倶楽部・酒蔵(酒売場)は、店内改装工事のため2025年4月21日(月)をもちまして一時休業いたします。
と公式ウェブサイト上で案内されていたものの、18日に
誠に勝手ながら、【地下2階西武食品館 生鮮倶楽部・酒蔵(エクシヴァン)・富澤商店】は、店内改装工事のため2025年4月18日(金)をもちまして一時休業いたしました。 当初ご案内しておりました2025年4月21日(月)までの営業より休業が早まりましたこと、深くお詫び申しあげます。
と案内が更新された。地下2階の休業と時を前後し、酒商山田・肉匠もりやすはデパチカを本館7階の催事場に仮移転させた、デパナナに仮設店舗を出店するなどしていたが、8月31日のデパナナ終了とともに、再び一時休業となった(肉匠もりやすは現在地下2階デパチカ(惣菜)で一部商品のみ取り扱う仮設店舗で仮営業中)。
2025年8月の計画発表
休業から4か月後の2025年8月19日、そごう・西武はデパチカリニューアルの計画に関するリリースを発表した。地下1・2階を約180ショップで構成するとしたうえで、地下2階の内訳を「デリ(惣菜)計62ショップ」と「生鮮・酒ほか15ショップ(2026年1月以降)」としている。北ゾーンについては、生鮮・酒に加えて新たなコンテンツを導入し、全国各地から旬のおいしさを届ける売り場に生まれ変わる、と記載された。
地下2階の生鮮食品について、公式サイト上の表記が「休業」とされていたことから、他のフロアのリニューアルとは違い積極的な改修工事は行われないとの見方もあった。しかし、このリリースの計画によれば、生鮮倶楽部・酒蔵をそのまま再開するのではなく、新たな内容を加えて再構成する計画だった。また開業時期について、2026年1月以降とし、早ければ年明けにも生鮮・酒売場を開業することを示唆していた。
2026年1月以降開業予定期
同年10月頃も、公式ウェブサイトで2026年1月頃のオープンを予告する文面として、
誠に勝手ながら、店内改装工事のため、【地下2階】食品フロア 生鮮・酒は2025年4月19日(土)から当面の間休業しております。
【酒商山田】【肉匠もりやす】は、2025年9月1日(月)から当面の間休業いたします。
地下2階デパチカ(生鮮・酒)は、2026年1月以降オープン予定です。くわしくは、決まり次第ホームページにてお知らせいたします。
が掲載されているのを確認できた。9月末に地下2階のデパチカ(惣菜)がオープンしたタイミングでは、8月のリリースと変わらず、年明けにも開業させることを見込んでいたことになる。
その後、年末頃には
地下2階デパチカ(生鮮・酒)のオープンについて、くわしくは決まり次第ホームページにてお知らせいたします。
お客さまには大変ご不便ご迷惑をおかけいたしますが、何とぞご理解いただきますようお願い申しあげます。
に更新され、開業時期は再び不明となった。
2026年春以降開業予定期
次に開業時期について言及があったのは、年明け後である。公式ウェブサイトのお知らせが
地下2階デパチカ(生鮮・酒)は、2026年春以降オープン予定です。
地下2階デパチカ(生鮮・酒)のオープンについて、くわしくは決まり次第ホームページにてお知らせいたします。
お客さまには大変ご不便ご迷惑をおかけいたしますが、何とぞご理解いただきますようお願い申しあげます。
に更新され、2026年の春ごろの開業を目指していることが示された。
その後5月頃までは同様の案内が掲載されていたものの、6月頃から開業時期への言及が削除され、以降現在に至るまで開業時期への言及はされなくなった。

開業時期だけではない。現在の公式サイトを見ると、休業案内のほか、「2026 グランドリニューアルオープン」特設ページにも、9月に開催中の「デパチカ1周年フェア」のページにも、「生鮮」「酒」の語は登場しない。8月の発表で示された「約180ショップ」という数字は北ゾーンの15ショップを含めて成立していたはずだが、その数字を掲げたまま北ゾーンの生鮮・酒には触れないという状態が続いている。
地下2階は誰のもの?
ここまでの経緯を踏まえた現状認識としては、西武が生鮮食品・酒売り場を改装後開業しようとしているが、工事が難航するなどして開業に至っていない、と考えるのが極めて自然である。実際当初2025年中とされていたグランドオープンは2027年にまでずれ込むとする報道もあり、工事の難航と遅延は明らかだ。
ただこの自然な仮定(すなわち地下2階には西武の売り場が戻ってくる)と矛盾するいくつかの事象が最近観察されるようになり、地下2階の残る中央・北ゾーンは何ができるのかというのが話題になっているわけだ。ここで現在までに確認されているいくつかの矛盾を見てみよう。
- 資料A - ヨドバシHD池袋ビルフロアガイド: ヨドバシ池袋開業を機に各所に掲載されるようになったビル全体のフロア構成図
- 資料B - ビジネスインサイダー「ヨドバシホール」: 7月11日のビジネスインサイダーの記事で言及されているヨドバシホールについて
- 資料C - LINKS MARCHEと2027年冬の謎多い開業予告: 9月中旬ごろに地下1階中央コンコースに面するシャッターなどに掲示された生鮮食品が背景のポスター
資料A: ヨドバシHD池袋ビルフロアガイド

ヨドバシ池袋開業を機に登場した、本館を中央・北ゾーンと南ゾーンに二分した構図の全館フロアガイド。これが公開されたとき、本館右下の地下2階に注目が集まった。

「・改装中」、ここである。現に地下2階は改装中なので、文言は正しいのだが、一方で西武の出店が確実視される7階・8階の改装中区画はどう表現されているのかを見てみると、違いがあることがわかる。

「・改装中」の左側に西武のロゴが入っているのである。地下2階の改装中区画に、この西武のロゴがないのであれば、それはすなわち西武以外が運営する区画なのではないかと推測できてしまうということである。
資料B: ビジネスインサイダー: 「ヨドバシホール」
BUSINESS INSIDERが7月11日に公開した、「ヨドバシカメラ池袋」が狙う都内トップの座、“梅田超え”なるか。米投資ファンド・百貨店連携で目指す家電量販店の未来という記事には、面白い記述があった。
なんとヨドバシ区画に、500人を収容できるイベントスペース「ヨドバシホール」なるものを設置する計画があるというのだ。しかもご丁寧に記事には「地下に」と場所が明記されている。後述のLINKS MARCHEが部分開業したことによって、ヨドバシHD池袋ビルに残る空き区画は少なくなってきている。特に地下となれば地下1階は既存のイベントスペースくらいしか物理的に開けている空間はなく、「500人収容」・「ホールを新設」を「地下」で行うとすれば、それすなわち地下2階ということになりそうである。
資料C: LINKS MARCHEと2027年冬の謎多い開業予告
9月19日(土)に地下1階北ゾーン(旧SEIBU BEONE)にLiquor WorldとYodobloom SAKEからなる酒売り場が開業した。約3,500種類のお酒を取り揃えたということで、「西武の酒売り場と競合するからお酒は扱わない」という前情報はさておき、それ自体は大きな驚きではなかったものの、このエリアについた新たな名前が話題になった。LINKS MARCHE IKEBUKUROである。
LINKS MARCHEというもの自体は池袋が初めてではなく、大阪梅田のLINKS UMEDAにも同名の区画が存在する。「賑やかなマルシェ」をテーマにした食のエンタテインメントフロアがテーマのようで、LINKS UMEDAのLINKS MARCHEには、スーパーマーケットなどが入居し、生鮮食品などを取り扱う。今回IKEBUKUROにLINKS MARCHEという名前のエリアを作ったということは、酒売り場に留まらず生鮮食品を扱うスーパーなども続いて開業するのではないかという推測も否定はできない。
加えて、LINKS MARCHEのある地下1階北ゾーンは極一部分だけ、仮囲いに囲まれた工事中区画が残ったのだが、そこには意味ありげな開業告知が貼られていた。
野菜売り場らしき画像とその上に、「2027年冬 開業予定」の文字。もしイメージ通り生鮮食品を扱うスーパーをヨドバシ側が誘致したとしたら、どこに入居するだろうか。繰り返しになるが地下1階で残された空き区画はわずかである。であれば地下2階にオープンという可能性もあるといえるだろう。
最もこの告知では、何が開業するのかわからないというのもそうだが、ヨドバシのこれまでの告知スケジュールからして異様に早い開業告知だ、という指摘もあった。これだけを見て、ヨドバシ側で生鮮食品を扱う売り場ができると断定することはできないが、その一方で何か食品らしきものが新たに開業することは確かである。ただそれがどこに誰がオープンさせるのかはわからない。
では西武は地下2階北ゾーンをやめたのか? いや、そんなわけない。
食品フロアは増えるはずだ
ここまで、地下2階の中央・北ゾーンにヨドバシ区画の施設・売り場ができることを示唆する資料を3つ見たが、かといって西武がこのエリアに出店しないことにはならない。というのも西武がこのエリアに出店する根拠も存在するからである。
その最たるものが西武池袋本店のウェブサイトにある休業中の案内である。記事の冒頭でその文言の移り変わりを整理したが、開業時期の言及部分に多少の変化はあったものの、依然として地下2階の生鮮・酒売場は休業中の表記である。
誠に勝手ながら、店内改装工事のため、【地下2階】生鮮・酒売場は2025年4月19日(土)から当面の間休業しております。
地下2階デパチカ(生鮮・酒)のオープンについて、くわしくは決まり次第ホームページにてお知らせいたします。
お客さまには大変ご不便ご迷惑をおかけいたしますが、何とぞご理解いただきますようお願い申しあげます。
また、肉匠もりやすが仮営業していることも根拠になる。前述の通り、休業中の肉匠もりやすは、地下2階デパチカ(惣菜)の中に仮設店舗を構え、一部商品のみを扱う形で営業を続けている。戻る先の売り場がないのであれば、仮設店舗を置いて営業を続ける理由はない。肉匠もりやすがこの8月から仮設店舗で仮営業を再開したことは、今ある食品フロア以外に生鮮売り場ができることを示唆する。地下2階に生鮮の売り場が戻ることを前提にしなければ説明がつかない。
西武が地下2階の生鮮食品から手を引く可能性は、まず考えられない。これが現時点での結論である。
当初計画のままではない可能性
一方で、2025年8月に発表された計画がそのままの形で実現するとは、言い難い可能性もある。その一つが、製菓材料店・富澤商店の閉店である。
富澤商店は2026年2月19日付で、公式サイトに西武池袋店の閉店を告知した。文面は「2025年4月19日(土)より改装のための休業を予定しておりましたが、諸事情により、閉店することとなりました」というもので、閉店後は東武池袋店への来店を案内している。閉店の理由は明らかにされていない。なお東武池袋店は2024年2月の開業で、西武池袋店の休業開始時点ですでに営業を開始していた。
この告知を、西武側の発表の時系列に重ねてみる。2025年4月の休業時、西武の案内は生鮮倶楽部・酒蔵と並べて富澤商店を名指しし、「一時休業」としていた。同年10月頃に「2026年1月以降オープン予定」と告知された時点でも、富澤商店は休業扱いのままで、つまり戻る前提だった可能性が高い。2026年1月頃の「春以降オープン予定」への更新を経て、その約1か月後に富澤商店が閉店を告知し、さらに4か月後、西武の案内から開業時期の言及が消えた。
デパチカ(惣菜)のリニューアル時も同様の事象は存在した。開業が後ろにずれ込むことを受けて、当初はリニューアル後の再出店を予定していたショップが撤退を決める事例もあった。今回も同様のショップ都合の撤退である可能性もあれば、そうでない可能性もある。後者であれば、フロア構成の全体か一部が変更になり、ショップ出店計画に変更が生じた可能性もあるのだろうか?
生鮮の売り場が戻ることと、当初計画の通り中央・北ゾーン全体に生鮮・酒売り場が戻ることは、別の話である。前者は確からしいが、後者はそうではないのかもしれない。
地下2階に西武とヨドバシの両方が入る可能性
そう考えると、資料A〜Cが示していたものも見え方が変わってくる。フロアガイドの表記、「地下」のヨドバシホール、LINKS MARCHEの名と「2027年冬」の予告。いずれも単独では決め手にならないが、西武の北ゾーン計画が当初のままではないとすれば、これらは矛盾ではなく、その帰結として読むことさえできてしまう。
つまり、地下2階の中央・北ゾーンは、西武の生鮮・酒売り場が当初より縮小した形で戻り、残りにヨドバシ側の売り場や施設が入るということである。ここで挙げた材料を一番自然に繋ぐなら、おそらくそういうことになるのではないか。ただし、それはあくまでも謎解きの域を出ない。いくら状況証拠を集めたところで、それは当初発表された計画が変更されたことを示唆するとは言えないと考えている。その意味で最も可能性が高いのは、計画通り地下2階の売り場全域を西武が食品フロアにすることなのかもしれない。
西武池袋本店では、地下コンコースに沿った外装工事が再開するなど、グランドオープンに向けた工事が進む。地下2階はどうなるのだろうか。


